自宅で作るパスタ料理:ナスとモッツァレラのパスタ(シチリアーナ)
トマトソースの赤、ナスの濃い紫、モッツァレラの白(、お好みでバジルの緑)が一皿にまとめられた、美しい色合いが特徴的なパスタ・シチリアーナです。見た目だけでなく、味の観点から見ても、ベースとなるトマトソースの酸味と塩味、薄味かつ濃厚な香りのモッツァレラ、ナスによる野菜の美味が共存しており、楽しみ方の多い品です。
食材の扱いについて
色合い的にも効果がありますし、栄養もありますので、ナスの皮は落とさず使ってしまうのが良いと思います。もし皮の食感が気になるのであれば、半分くらい落とすだけでもかなり変わってきます。切り方は乱切りがオススメ。ですが、輪切りや半月切りでも綺麗に仕上げられます。
面倒かもしれませんが、フライパンで炒めるのではなく、揚げ物鍋で揚げることをお勧めします。クオリティが全然違います。ナスは油での調理によって、油を吸った後に油を吐き出すという挙動をします。この工程をしっかり踏まないと、中途半端に油を吸い込んだままでギトッとした感じになってしまいます。また、フライパンで局所的に強い火が入ると、せっかく鮮やかな皮の色が褪せてしまうのです。揚げ油の中で、表面に焦げ色が付く程度に加熱する。ナスを美味しく食べる為に大事なポイントですね。
モッツァレラは、近所のスーパーで買えるものでも十分美味しいですよね。私はメダル形状のモッツァレラを冷凍庫に常備しているので、そちらを使っています。このパスタの調理においては、モッツァレラは入れるタイミングが重要です。あとは混ぜすぎないこと。早い段階で入れたり、混ぜすぎてしまったりすると、モッツァレラが全体にまとわりついて重くなりますし、モッツァレラの原型が消えてしまいます。遅すぎると、冷たいままのモッツァレラが絡まず浮いてしまいます。丁度良く…モッツァレラ単体の美味しさを残しつつ、一部をソースの中に絡ませる。こうすると最高の味わいになります。
今まで挙げた食材だけでも十分美味しくなりますが、お肉のイノシン酸を足せば更に旨味が強くなります。私はパンチェッタやベーコンを短冊切りにして入れることが多いです。あくまで主役はナスとモッツァレラなので、あまりお肉をゴロゴロさせないことに気をつけています。
嫌な思い出
チーズ全般にも言えますが、モッツァレラに関しては特にフライパンにくっつきやすいので注意。一度、アルミパンで調理すると大変なことになりました。ずっとシンクの前でアルミパンをゴシゴシして悲しい気持ちになったので、テフロン加工のフライパンを使うのが無難です。
パスタについて
ロングパスタでも勿論良いのですが、乱切りのナスと一緒に食べやすいので、同じような大きさのショートパスタも良いと思います。ロングパスタを選択する場合、あまり細いパスタだとソースがクドいかもしれないです。
作り方
材料(1人分)
- ナス 中1本
- モッツァレラ 約30g
- にんにく 1片
- ベーコン 20g
- トマト缶 1/2個 (200g)
- きび砂糖 小さじ1/2
- パスタ 70g~80g (ショートパスタの場合 60g~70g)
- 塩分濃度1%のパスタ湯
- 揚げ油
- オリーブオイル
- バジル (お好み) 5枚
- 塩
調理手順
ナスの端を落として乱切りにする。モッツァレラは食べやすいサイズに千切る。揚げ油にナスを入れ、表面に焦げ色がつくまで揚げたら取り出し、塩を振って置いておく。にんにくの芯を取って潰し、フォークで潰しながらオリーブオイルで色がつくまで弱火で温めたら、ベーコンを入れて焼き目がつくまで炒める。トマト缶ときび砂糖を入れて煮詰める。ここで塩を入れて味を整える。パスタを茹でたら、ソースの中にナス、モッツァレラと共に入れ、少し混ぜる。皿に盛って、バジルを散らす。
自宅で作るパスタ料理:レモンクリームパスタ
レモンの酸味でキレをつけたクリームパスタ。作るようになったのは比較的最近ですが、広島で沢山の柑橘類に触れてきた自分にとって、とても存在感の大きい料理です。
味のベースは
ソースのメインとなる材料は生クリームですが、ただ単にクリームをパスタに絡めるのではなく、工夫をすることで何段階も美味しく仕上げることができます。
一つはチーズです。塩分や旨味成分グルタミン酸を足すことができるほか、クリームだけでは足りないとろみを補うことで、クリームソースとしての完成度を高めます。個人的な好みですが、ペコリーノやパルミジャーノだとこの品には味が強い気がするので、グラナ・パダーノを使っています。また、バターもお好みで。コクととろみが付加されます。
もう一つのメインはレモンです。レモンの実から果汁を絞っても良し、市販のレモン果汁でも十分美味しく作れます。重要なのはタイミング。最後にソースとパスタを和える段階で入れましょう。早すぎると酸味と香りが飛んでしまいますし、盛り付けの時にかけると馴染んでくれず酸っぱくなります。
どんな具材を選択する?
具材ですが、パンチェッタ、ベーコン、生ハムなどの塩っ気のあるお肉をおすすめします。一気に食べ応えが増します。他には、キノコでグアニル酸を足したり、ハーブで爽やかさをプラスしたりしても良いですね。ソースにレモンを使っているので、レモンの皮をすりおろしたり、皮を千切りにしてふりかけたりすると、さらにレモンを主張させられます。
塩分濃度は
具材で塩っ気のあるものを入れた場合は、それだけでソースの塩分が決まります。一方で、余計な材料を入れず、シンプルなレモンクリームパスタにしたい場合は、クリームに塩を入れて塩分濃度を調節するのは少し難しいため、パスタ湯の方を塩分濃いめにして合わせると良いでしょう。パスタ湯の塩分濃度は普通1%とかですが、1.5〜1.8%くらいにして茹でて合わせます。
作り方1:シンプルなレモンクリームパスタ
食材
- レモン 1/2個
- 生クリーム 50mL
- チーズ(グラナ・パダーノ) 10g
- パスタ 80g (ショートパスタなら70g)
- 塩分濃度1.6%のパスタ湯
- 胡椒、バター (お好み)
調理手順
レモンの果汁を絞り、皮を切って千切りにする。チーズはすりおろしておく。フライパンに生クリームを入れ、弱火で温める。パスタを茹でたら、パスタとチーズをクリームの中に入れて混ぜ合わせる。このとき、お好みでバターも入れて溶かす。最後にレモン果汁を入れ、軽く混ぜたら、皿に盛り付ける。お好みで胡椒を少しかけ、千切りにしたレモンの皮をかける。(皮は千切りの代わりに、すりおろしても良い。)
作り方2:生ハムを入れたレモンクリームパスタ
食材
- レモン 1/2個
- 生クリーム 50mL
- チーズ(グラナ・パダーノ) 10g
- 生ハム 20g
- オリーブオイル 適量
- パスタ 80g (ショートパスタなら70g)
- 塩分濃度1%のパスタ湯
- 胡椒、バター(お好み)
調理手順
フライパンで、一口サイズに切った生ハムをオリーブオイルで炒めて、焼き目を付ける。その中に生クリームを入れ、弱火で温める。それ以降はシンプルなレモンクリームパスタと同じ手順。パスタ湯の塩分濃度が違うことに注意。
自宅で作るパスタ料理:ボロネーゼ
ボロネーゼについて
エミリア=ロマーニャ州にあるボローニャの発祥、挽肉たっぷりの食べごたえあるパスタです。
正しくは Ragù alla Bolognese (ボローニャ風煮込み)と言うようです。煮込みというだけあって、赤ワインでしっかり煮込むのがポイントでしょう。お肉の旨味と、赤ワインの深みが合わさった重厚な美味しさがボロネーゼの魅力だと思います。
ボロネーゼの構成要素
ボロネーゼの主役はなんといってもお肉なので、ここの美味しさが一番の要点ですね。牛肉100%か、あるいは豚肉を少量混ぜたりします。肉に塩を振って少し休ませる、こうすることで味がしっかり出ます。ここでスパイスを入れても良いです。ハンバーグによく入るナツメグや、あるいはクローブなどがあります。私は臭み消し+食欲増進の効果があると言われるオールスパイスを入れたりもします。乾燥ハーブもあり得る選択肢でしょう。煮込むときに、フレッシュのタイムやローリエを入れて、後で取り出すのも良し。
また、挽肉だけでなく、別のお肉も足して旨味を増強することもあります。レバーなども使われるらしいですが、私の場合は入れるならパンチェッタや生ハムですね。
ボロネーゼには、香味野菜の炒めが入ります。ソフリットというものですね。玉ねぎ、にんじん、セロリを3:2:1の質量比でみじん切りにし、色がつくまで炒める。この工程に時間がかかるのですが、ソフリットは作り置きが可能です。たくさん作っておいて、薄い状態で冷凍する。ボロネーゼを作るたびに適量を切り離すことで、手間を大きく削減できます。ソフリットは、煮込み料理、スープ、玉ねぎのみじん切りの代わりになど、他の色々な料理にも利用できるので、手間に対する効果は優れていると思います。
あとはパスタ。タリアテッレという幅広パスタを合わせるのが定番、それ以外はボロネーゼと名乗らないそうです。ですが自宅で食べるならば何を使っても自由でしょうね。タリアテッレの乾麺は、鳥の巣のようにグルグル巻きの状態で包装されている事が多いですね。タリアテッレはパスタの中でも自家製をしやすいので、たまに作ったりもしています。生地を練って、伸ばして包丁で切るだけ。伸ばすのが面倒ですが、製麺機や特殊な器具がなくても作れます。
最後にチーズ、主にパルミジャーノが使われます。甘い香りが強く出るチーズですが、肉々しいボロネーゼには相応でしょう。塊のチーズを削って振りかければ、とても魅力的な姿の料理になります。
ミートソースとの区別
ボロネーゼといえば、日本で親しまれているミートソースパスタをイメージされる方もいらっしゃるかもしれません。私はボロネーゼとミートソースをしっかり別の料理として両立させたいので、違いをつけるための調理ポイントを複数設けています。
お肉の粒度
- ボロネーゼは挽肉の塊をある程度大きく残し、ゴロゴロさせる。
- ミートソースは挽肉をしっかり砕いてサラサラにする。
ソースの下地
- ボロネーゼには赤ワインたっぷり、トマトを少し。
- ミートソースにはトマトベースで、赤ワインを少し。
パスタ
- ボロネーゼにはタリアテッレ。
- ミートソースにはスパゲッティなどお好みのパスタ。
トマトの量ですが、個人的にはかなり少なめが好みです。トマトの量が少ないと、黒っぽい紫色のボロネーゼになります。少しコクが薄まる印象ですが、キレがよくあっさり食べられる気がするので、昼食には丁度よいです。トマトの量が増えていくと、段々と色が茶色っぽくなっていき、よく見るボロネーゼの姿になります。
動画紹介
家でボロネーゼを作ろうと思ったきっかけは、Ropia シェフと日高シェフの動画です。
巨匠に教わる【ボロネーゼ】日髙良実シェフに教わる - YouTube
また、ファビオシェフの徹底解説は隅々まで説明されていて参考になります。
まだ誰も知らないボロネーゼ《永久保存版》 - YouTube
動画として好きなのはクラシルの鈴木弥平シェフの動画です。喋りが面白い。
【至極のパスタ】14年連続ミシュラン一つ星シェフが教える“最高のボロネーゼ“の作り方 【ピアットスズキ・鈴木弥平】クラシル #シェフのレシピ帖 - YouTube
作り方
ソフリットの作り方
玉ねぎ、人参、セロリを可食部の質量比 3:2:1 で用意し、全てみじん切りにする。オリーブオイルを入れたフライパンに野菜を入れ、水分を出すために塩を全体に振りかける。弱火で10~20分炒める。パチパチと音が鳴り出すと色がついていくので、好みの状態で止める。沢山作った場合は、ラップに薄く広げて包み、冷凍する。
材料
- 牛肉 80g
- ソフリット 20~40g
- パンチェッタ 10g
- 赤ワイン 約200mL
- タイム 少量
- トマトピューレ 50g
- パルミジャーノ・レッジャーノ 5~10g
- タリアテッレ 70g
- パスタ湯
- 塩、黒胡椒、ナツメグ、クローブ、パセリ、バター
調理手順
牛肉に塩胡椒、好きなスパイスを混ぜ、少し休ませる。それをいくつかの塊に分け、オリーブオイルを敷いたフライパンで炒める。焼き目がついたら少し肉を崩して引き続き炒める。肉の全体に色がついたら、ソフリットと小さくしたパンチェッタをいれて混ぜる。具材が浸るくらいの赤ワインを入れ、タイムを入れて煮詰める。赤ワインが減ってきたらタイムを取り出し、トマトピューレを入れて、塩で味を調える。お好みでバターを加えてコクを足す。茹でたタリアテッレと和えて更に盛る。パルミジャーノ・レッジャーノを削って振りかける。パセリはお好みで。
訪問記録:ブラッスリー ポール・ボキューズ 銀座
ポール・ボキューズさんという有名なフランスのシェフの名前を冠した、フレンチレストランです。
有名シェフのお話や、愛読する漫画『食戟のソーマ』でも言及されていたこともあり、名前は存じていました。2018年までご存命だったそうです。現在のクレーム・ブリュレ、日本のお椀から着想したパイ包みのスープなど、色々な品を今に残されています。
さて、本題のお店には今年(2022)6月にも伺ったのですが、季節も変わったということで、この10月にもまた別メニューを楽しみにいきました。
メニューは、前菜、スープ、魚料理、肉料理、デザートから、コースによって選択できるものが変わります。
私は前回に続き今回も、前菜、オプションでスープ、魚料理と肉料理のどちらかを選ぶメインディッシュ、デザートのコースを選択しました。私はあまり沢山は食べられないので、これで十分お腹いっぱいになります。
前菜。ホタテのポワレは、名の通り外はカリッと、中はふっくら仕上がっていました。モリーユ茸については、ドライは手に入っても、生のものを食べる機会はそうそう無いので、良い体験でした。松茸のような香りで美味しかったです。
スープ。追加で頼めます。栗かぼちゃがとても甘く美味しいスープでした。分量はそこまで多くなく、頼みやすい品です。
肉料理は6月に頂いたものと同じメニューだったので、メインディッシュは魚料理に。なかなか食べる機会が無いですが、平目のムニエルってやっぱり美味しいですね。
前菜、メインディッシュ、デザートは、複数の品から選択できます。今回は全体的にクリームを多めに使った料理を選択したため、かなり早い段階で満腹になりました。
このお店に行きたいと思っていた理由は、お店のシェフである星野晃彦さんの料理動画をよく観ていたからです。所作やお話される姿が格好良いんですよね。店員さんに YouTube をよく観ているというお話をすると、わざわざ机まで来ていただけ、少しお話をしました。「昨日シェフの動画のグラタン・ドフィノワ作りましたよ〜」って。例えば今回デザートで選択したモンブランは YouTube でも紹介されています。
#22 “シェフ”が作るモンブラン A CHEF'S MADE MONT BLANC 星野晃彦シェフ直伝! | BOCUSE AT HOME - YouTube
ちなみに6月に伺ったときは前菜で鮎の料理を頂いたのですが、こちらが個人的にとても印象に残っています。
自宅で作るパスタ料理:アマトリチャーナ
アマトリチャーナとは
アマトリチャーナは、アマトリーチェという場所が発祥の、ローマの伝統的なパスタ。
カルボナーラ(卵、豚肉、チーズ)、カチョエペペ(チーズと胡椒のパスタ)と共に、ローマの三大パスタと呼ばれています。
トマトと豚肉でソースを作り、チーズをかけて食べるパスタメニュー。食材はとてもシンプルなレシピですが、とても濃厚で深みのある味になり、何度も食べたくなる人も多いことでしょう。私も自宅で何度もアマトリチャーナを作っています。
パスタは、基本的には穴の空いた太いロングパスタのブカティーニや、大きな穴開きのショートパスタであるリガトーニなどがよく合わせられます。その他であれば、濃厚なソースに合わせる太いパスタが選択されるようです。
豚肉と言いましたが、本来使われるのは頬肉の塩漬け加工品であるグアンチャーレです。これが調理によって独特の香りを出し、ただのトマトソースではない香りの強いソースになってくれます。
グアンチャーレは脂身が多く、炒めるとビックリするほど油を出すため、オリーブオイルもなしでパスタを作り上げることができます。
ペコリーノ・ロマーノは塩味の強い羊のチーズです。カルボナーラやカチョエペペも本来はこのチーズを使いますね。大きめのスーパーや輸入食材のお店で手に入れることができます。粉チーズと比較しても、それほどコストパフォーマンスは低くないですよ。
レシピによっては、玉ねぎを入れるケースもよくあります。むしろ、日本のシェフの解説であれば玉ねぎを入れる場合がよく見られるような気がします。玉ねぎを入れるかどうかはイタリアでも論争になっているそうですが、 Ropia シェフの解説がとても納得できる内容で、気に入っています。
プロが教える【アマトリチャーナ】本格レシピ紹介 - YouTube
(要約)「味噌汁にネギなどの具を入れても入れなくても味噌汁だが、味噌汁に味噌を入れないことはない。その必須となる部分がトマト、グアンチャーレ、ペコリーノロマーノ。」
因みに、私は玉ねぎ入れない派です。単純に玉ねぎが苦手なのと、もともと食材数の少ない洗練されたレシピだから、色々と足さなくても良いという理由です。
グアンチャーレは日本ではなかなか手に入らないので、パンチェッタ(バラ肉の塩漬け)やベーコンで代用しても良いでしょう。少し風味は変わりますが、調理によっては十分に美味しい品にすることができます。パンチェッタであれば、食材から油脂を出しやすくするための油(呼び油)としてオリーブオイルを少量、脂身の少ないベーコンであれば少し油を増やして、炒めると良いです。どの食材にせよ、焦げ目がつくようにしっかり炒めることが美味しいアマトリチャーナのポイントだと思います。炒め方が弱いと、グアンチャーレやパンチェッタの脂のグニャグニャした食感が残ってしまいますし、ベーコンの場合は旨味がしっかりソースに溶け込まず、ベーコン入りトマトパスタみたいな印象になってしまいます。とはいえ、火を入れすぎると固くなってしまうので、その塩梅については調整してみてください。
食材の種類が少ないゆえに、それぞれをしっかりと楽しめるパスタです。チーズがお好きな方はペコリーノ・ロマーノ(とチーズ削り器)を買って試してみてください。